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2011年4月18日月曜日

慶應丸の内シティキャンパス「イノベーション思考実践」


こんにちは。MMパートナーの天野です。
今日は先日一段落したプロジェクトのご紹介です。

慶應義塾の社会人教育機関である慶應丸の内シティキャンパス様にて行われた「イノベーション思考実践」に、私達MMのメンバーがサポーティングメンバーとして参加してまいりました。
この講座は東京大学i.schoolディレクターの田村大さんが講師を務めるもので、実際に企業に勤務されている社会人の方々(バックグラウンドも多種多様でした)が受講生です。
ビジネスエスノグラフィのメソッドに依拠して組み立てられたプログラムに沿って、人間中心イノベーション的な観点からのアイデアの発現を目指しました。
プログラムは全体で5日間で、1/25に始まり、4/2の最終発表まで講義外のリサーチ活動やミーティングなど含めて密度の濃い時間を過ごせたなと振り返っています。


それでは各セッションの内容とともに、全体のプロセスを簡単に振り返ってみましょう。

Session1 イノベーション思考とは Jan.25
この日は田村さんのレクチャーを中心に、イノベーション思考の枠組みについて知識を共有しました。
i.schoolの活動をはじめ、問題と解の新結合を目指す(ニーズ志向ともシーズ志向とも異なるような)イノベーションのコンセプトが語られました。


Session2 フィールドワークの準備 Feb.5
エスノグラフィを行う際には、その対象者(調査協力者 : participant)の選定が非常に重要です。
セッションではその選び方から、インタビュー/参与観察の調査における心構えまでレクチャーとディスカッションを通じて知見を深めました。
ここは実はビジネスエスノグラフィのプロセスにおいてとても重要なパートで、いわゆる平均的な人(正規分布のボリューム層に位置する人)ではなく、エクストリームユーザーと呼ばれる「ちょっと変な人」の生活環境に自分を浸し、その日常世界を追体験することで発想のためにインスピレーションを得るのです。
後々のアイデア発現セッションの成否を左右すると言っても過言ではない箇所にあたります。


※Session2とSession3の間にインタビュー/参与観察の調査として、participantの御自宅に各グループごとに赴きました。受講者の方々のお話を聞くと、この調査がプログラム全体を通じて印象度が最も高いものの一つになったそうです。


Session3 まとめる:集めた情報の整理 Feb.26
各グループがフィールドワークで得てきた知見をダウンロード(情報の棚卸し&共有のこと)し、エクストリームユーザーの生活世界から集められてきた情報=ファクトを頭の中に充填。それをもとに解決すべき問題の如何を特定し、自分達の発想の足場となるフレームワークをグループディスカッションを通じて構築していきます。


Session4 つなぐ:問題とアイデアの統合 Mar.5
前回セッションで仮構したフレームワークをさらに精錬しつつ、機会領域を絞り込んでいきます。これは自分達のアイデアが問題の全体構造の中でどこに効くものなのかを明確にしていくプロセスですが、それを通じてグループのアイデア=問題解決に資するソリューションを練成していきます。
i.schoolのWSの時も同じですが、やはり一番盛り上がりつつも議論の収束に苦労するフェイズですね。


Session5 伝える:発表とリフレクション Apr.2 (Mar.19は地震の影響で振替)
こうして各グループが生み出したソリューションを恒例のスキット形式で発表しました。
例えばこんな感じで!
そして発表に対しては、内閣府男女共同参画局や各種研究機関からのゲストからのフィードバックを頂きました。アイデアへの高い評価や実現に向けての期待が語られ、アイデアをより良いものにするためのヒントもたくさん頂戴できたと思います。
そしてその日の後半のセッションでは、5日間のプログラムで獲得した経験値を実務の領域に持ち帰るにはどうしたらいいのか、グループに分かれてディスカッション。
イノベーションを生むためにはまず組織的にイノベーティブなプロセスに着手することが重要だと思いますが、なかなか壁は厚いようで。ここから先は私達の実践にかかってくるということだと思います。


本筋からは多少それる締めの感想ですが、やはり二ヶ月半苦楽をともにして一つのソリューションに向けて努力すると信頼関係が芽生え仲が良くなるもので、受講生の方々とはもちろん、僕自身パートナーの岩田さんとより距離を縮めることができたように思っています。二人で赤坂に飲みに行ったりして楽しかったです笑。
イノベーションはある種のグループジーニアス(集団的な創造性)をどう発揮するかが鍵である以上、実は「メンバーと仲良くなる(信頼関係を築く)」ことが死活的に重要なのだと僕は感じます。アイデア出しの際のキレはもちろん、グループとして困難に立ち向かっていく時の組織としての凝集力に関わるからです。
今回の講座でまた従来にはない人と人との新結合が生まれたことは間違いありません。学生と社会人、それもこれだけ多様な人がつながることは珍しいと思います(ソーシャルグラフにおいて、ありえない線分が引かれたと表現しても良いでしょう)。ここで培われた人間関係は今後も続いていくはずですし、こうした場づくりが各所で成されていくことで、イノベーションに向けての生態系が整えられていくのではないかと確信しています。

2011年4月12日火曜日

【参加者募集】モチベーション育成ワークショップ半期プログラム!





"Motivation Maker"
〜未来のおとなに、モチベーションを。〜


Motivation Maker(モチベーション・メーカー)は、東京大学i.school発のNPO組織です。
子供達(未来のおとな)のモチベーションを向上させるための教育プログラムを提供しています。

短期的に必要とされる知識やテクニックではなく、長い人生を自律的かつ自立的に生き抜くための
「モチベーション」を大切に育んでもらいたいと考えています。

【通期ワークショップ開講】
私たちMotivation Makerは、2011年度の春から、子供向けの半年間の教育プログラムを開講します!
原則として小学校高学年〜中学生を対象として、自分自身のやる気を高め・維持する力を持つ子供を育成することを目的とします。
5月~9月の週末に月1日程度集まり合計6日間をかけて、東京大学の施設や緑地のある公園、公共施設、わたしたちが生活する街を、縦横無尽に活用し、子供と大人が共に主体的に関わり合うことで進行する教育プログラムです。

この機会で学ぶのは子供達だけではなく、親御さんや企業の社会人、東京大学生などの大人も含まれています。
まさに、子供にモチベーション、大人にイノベーションで、皆でワクワクしながら学び合い、愉快な明日を実現する教育プログラムになっています。

奮ってご参加ください!


【概要】
日程:※計画停電の影響などでやむを得ず変更の可能性もあります
第1回 5月14日 ( 土 )「東大生の相談にのってみよう」
  ※希望者には東大生による東京大学キャンパスツアー付き。
第2回 6月12日 ( 日 )「街角探検!写真で “宝の地図” づくり」
第3回 7月10日 ( 日 )「我が家の定番メニューづくり」
第4回 8月06日 ( 土 )「エンジニアと共同開発体験!」(前)
第5回 8月20日 ( 土 )「エンジニアと共同開発体験!」(後)
 ※希望者には夏休みの宿題・自由研究への転用のご相談にのります。
第6回 9月11日 ( 日 )「明日のモチベーションの育て方」

場所:首都圏近郊

対象:小学校高学年~中学生(※親御さんも一緒に参加出来るプログラムの予定です)

定員:15名程度
※応募者多数の際には、ひとり親家庭を優先させていただきます。
※通期以外の申し込みの方、各回若干名となりますが募集しております。

参加費:原則無料(お菓子代実費/最大500円)

主催:東京大学i.school発 教育事業 Motivation Maker(モチベーション・メーカー)

申し込み方法:メール又は電話にて、氏名・学年・連絡先を、お知らせ下さい。
①メール申込: info@motivation-maker.org
②電話:03-6868-6022(担当:遠藤友里恵

ウェブサイト:www.motivation-maker.org
※上記スケジュールご確認の上、5回以上の参加をお願いいたします。
締切:一次締切4/30, 二次締切5/10



【過去子供向けWS紹介】
Motivation Maker 過去のワークショップのご紹介
第1回 @東京 9/23 LEDで、光のプレゼントをつくろう!
http://motivation-maker.blogspot.com/2010/10/led-923.html

第2回 @神戸 10/24 世界で一つのオリジナル灯籠づくり!
http://motivation-maker.blogspot.com/2010/11/2010.html

第3回 @東京 12/12 インドネシアにピン・トゥ・ク・マナ・サジャ!(どこでもドア!)
http://motivation-maker.blogspot.com/2010/12/blog-post_15.html

2011年4月11日月曜日

演技力養成講座「ソクラテスがハムレット!?」

こんにちは。Motivation Maker(=MM)の砂子田です。
桜満開の今日この頃…4月9日に毎月恒例のミーティングが行われました。


MMのミーティングはワークショップ(=WS)を取り入れたスタイルで頭だけでなく全身を
使って話し合いをしています。
そして今回はなんと!遠藤友里恵さんによる演技力養成講座WSを行いました!

これまで行ってきたマイクロソフトImagine cupWS八王子モノづくりW
の発表で頻繁に登場してきたスキット(寸劇)という表現方法はアウトプットとして出てきた
アイディアの利用シーンを想定して自ら演じることで、より利用者側、人間中心から物事を
考えることに役立ちます。そうすることで文章だけでは気づかない点への気づき多く、
より充実した内容になることが多くあります。

さて、いよいよWSのスタートです!
●まず3グループに分かれ、それぞれ小学校と中学校のどちらが思い出深かったかを話し合います。
そして小学校/中学校で一番面白かった先生と一番変だった先生の具体的な特徴について
思い出して書いてゆく個人作業を行います。
その後グループ内で共有した後に一番面白かったことをクイックに1分で全体に共有します。
ボディービルダーな体型の先生の昼食はいつもささ身…実はアジア大会に出るほどの
実力だった社会の先生、生徒から怖いと恐れられるがピアノを弾くときなどふとした瞬間に
優しくなる先生、体育の時間生徒のだらだらした態度が気に入らず1時間マットの出し入れを
延々とさせるほど厳しいかったがフルート奏者になるため退職した先生など個性的な
先生たちが出揃いました!

そして突然遠藤さんから
「今から1分その先生のモノマネをして下さい」
「一人生贄!」
「待ったなし!」
と声がかかり、どうしようかとあたふたしていると先ほどのは冗談だったらしくレクチャーへ。

●モノマネとスキットの違いとは?
・モノマネ:
-個別具体の特徴を拾う
-特徴を誇張
-Realizingで壁があるときがしばしば

・スキット演技:
-複数固体を抽象化
-共通概念を形成
-のち具体を付加
-Realizingしやすい

などの違いがあるそうです。例えば母親役を男性がモノマネするのは、どこか不自然で
気持ちがよくないこともしばしばあります。しかし、スキットであれば母親そのものではなく
母親の中にある共通概念+具体的内容を演じるので自然に感じられるだけでなく
異性だからこその気づきも生まれます。

メンバー一同「なるほどー」と理解したところで、先ほどの先生たちについて3キーワードで
抽象化します。
まずは個人で印象深かった要素を抽出してポストイットに書き、グループで共有します。
わかりやすいようホワイトボードでのグルーピングや、マッピング、シンプルに紙にポストイットを
貼るなどそれぞれのやり方で話し合います。
そして、グループでまとめた3キーワードについて1分で全体共有をします。

Aグループ:「五感の情報×自然体×他の人がマネできないもの」
Bグループ:「意識と無意識のギャップ×空気感×そのままのもの」
Cグループ:「共感×ツッコミどころのあるネタ×人間性」
同じ課題からスタートしてもここまで出てくるものが違ってくるのだと思うと
人の可能性に対しての興味がより増しますね。

そして、待ちに待ったスキット作成!
一人一役はやること!とのことなので、メンバー全員演じきります。
Aグループ:ボディー減量中のボディビルダーな先生の特徴を五感で表現
Bグループ:先生が来ると教室の空気がぴりりと締まるが、音楽の授業では誰よりも楽しそうに指揮をする先生を表現
Cグループ:修学旅行で持ち込み禁止のものを見つかり怒られたが、その先生の部屋からフルートの音色が聞こえ後に退職した先生を表現
どのグループも、先生がどのような人だったか鮮明に伝わってくるスキットでした!

今回の演技力養成講座では、5月から始まる通期WSのコンテンツの中に「演技力」がポイントとなってくる機会があるのでその練習も兼ねて行いました。

そろそろWSも終わりに近づき…
気になっている方もいるのではないでしょうか。
この記事の題名「ソクラテスがハムレット!?」とは何か?

実はMMメンバー、ソクラテスこと天野彬さんはいつも冷静でスキットをしている
イメージが湧きません。
そこで、その天野さんでも
「演技は表現方法のひとつですから、僕、できますよ」
とさらりと言えるようにスキットを捉えましょう、という遠藤さんからのメッセージでした。

次回WSは今までに増してスキット回数も増え、充実した内容になることでしょう。

2011年4月5日火曜日

教育×農業×モチベーションとは?

こんにちは。Motivation Makerの砂子田舞です。
やっと都内の桜が咲き始め、日中は暖かい日が増えてきましたね。

今日は私が活動している農業系団体の活動についてご紹介したいと思います。
今年5月下旬に千葉県鴨川市の大山千枚田にて「泥んこバレー」という行事が行われます!

私は昨年、参加者側のわかもの農援隊として参加しましたが今年は東京農業大学として運営に携わることになり、とてもわくわしています。
「泥んこバレー」では、田植え前の大山千枚田の棚田で大学生対抗のバレーを行い、
農業や環境に関する活動をしている学生の交流を図っています。
もとは数年前に棚田環境大学という、棚田保全を目的としたサミットを行っていたのですが、継続して行うことができませんでした。当時関わりがあった学生から泥んこバレーの提案があり、それ以降はフィールドワークを通じたディスカッションと泥んこバレーの両方を行っています。
また、今年で12年目になる棚田オーナー制度も学生の参加が乏しいため、泥んこバレーという行事を通じて地域の発展を地域の方と学生で考え、鴨川を盛り上げることを目的としています。

大学で栄養学を学ぶ傍ら、農業と関わり、Motivation Makerで教育と関わり、何が私を動かしているのか?考えました。

これらに共通しているのは、生きていく上で最も大切で身近なものであり、それが当たり前であるからどこか無意識のうちに過ごしているのではないかということです。もしくは、問題意識があっても「常識」や「習慣」という壁に挟まれてしまって自由に身動きができない状況なのかもしれません。
しかし、だからこそもっと深く知りたいという興味と、可能性を追求したいという感情に動かされているのだと思います。

これからも精力的に活動していきたいと思いますので、よろしくお願い致します!

砂子田